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第5回:子どもの安心は、夫婦の心の結びつきから

早樫 一男 臨床心理士

子育てが終わってから…

少子高齢化の時代、長くなった夫婦二人きりの老後生活を前に、熟年離婚が増えてきています。

高校三年生の長女の相談に来られたお母さん。これまで毎日元気に登校し、親元を離れた遠方の大学への進学を希望していた娘さんが、ある日突然、学校へ行かなくなったとのことです。家族は、就職一年目の一人暮らしの長男と父親。父親は営業関係の管理職で、夜遅くに帰宅。長女と顔を合わせない日が一週間以上というのも度々です。その父親ももうすぐ定年退職を迎えます。

子どもたちが小さなころは家族四人でよく出かけたとのこと。子どもたちが成長するにつれて、家族そろって行動することは少なくなったようですが、これは自然なことでしょう。
「ご夫婦が一緒に行動されることは?」という問いかけに対して「めったにありません!」と即座に答えが返ってきました。妙に力がこもっていたのが印象に残っています。長女は大変よく気がつく子で、家族の誕生日にはプレゼントを欠かしたことがないと、お母さんは自慢げでした。「すると、娘さんが一番家族思いなのかもしれませんね……」突然、長い沈黙が続きました。お母さんはその言葉から、何か思うことがあったようです。

子育てがひと段落し、子どもたちが家庭から巣立つと、あらためて夫婦二人の生活になります。少子化の現代、子育て期間は約二十五年ぐらいとか。一方、子育て解放期以降の生活は二十五年から三十年。夫婦二人になる期間が子育てより長くなったわけです。核家族で、子どもがいなくなったら、否応なく夫婦が直接向き合うことになります。お互いに加齢に伴うさまざまな変化も起こります。介護を要するようになるかもしれません。しかし、だからこそ重要なのは、夫婦が心をそろえるよう、お互いが努力することです。不登校は、「娘は、自分たちが自立したあと、夫婦仲良く協力し合えるの? 大丈夫なの? と問いかけているのかもしれないですね」と、お母さんはつぶやきました。

いきいき通信2007年5月号掲載