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第7回:若夫婦との距離、近すぎませんか?

早樫 一男 臨床心理士

祖父母への提言

若くて元気な祖父母が増えています。若い夫婦の子育ての、上手な応援団になっていますか?

一人っ子のA君は自宅からバスや電車を利用して私立の小学校に通っています。「入学当初は毎日の通学にとても疲れていました。二年生になってからは随分慣れたようです」とお母さん。
「しかし……」とお父さん。「家では問題ないのですが、学校ではいたずらを繰り返したり友達や先生とのトラブルが頻繁で、落ち着かないようなんです。先生からどこかに相談されたらと言われまして……」
「A君が解決したいことはどんなことか教えてくれる?」。両親の間におとなしく挟まっているA君に問いかけてみました。彼からは「おじいちゃんやおばあちゃんがうるさい。細かいことを繰り返し言うし……」と意外な答えが返ってきました。

実はお父さんも一人っ子とのこと。父方祖父母宅はスープの冷めない距離にあり、しかも祖父母宅の前のバス停をA君は利用しています。「毎朝、おじいちゃんかおばあちゃんがバスに乗る時間をチェックするんや!」とA君。「バスに乗る時間が少しでも遅れると、『前の日は遅くまで起きていたんだろう』『夕食が遅かったんだろう』と、その日の夕方から祖父母がわが家に来て、夕食が終わるまで監視するんですわ。『ちょっとは控えてください』と何度かお願いしたんですが、分かってもらえなくて……。初孫が可愛いというのは分かりますが、度が過ぎているというか……」。お母さんは積もり積もった思いを語り始めました。

息子には任せておけないと若夫婦の離婚調停に同行する母親、「困ったらいつでも戻ってきたらいいよ」と喜んで迎える両親、毎日の出来事を長電話する息子を受け入れている実家の母親等々、若夫婦への援助のあり方はどうなのか? と感じる出来事が増えてきました。時間もお金も余裕のあるのが六十代以降の親世代かもしれません。だからといって、子どもとの距離がいつまでも近すぎるのも問題です。若い夫婦や若い親を育てるには、時には広い心をもって距離を置く接し方も祖父母世代には大切ではないでしょうか。

いきいき通信2007年7月号掲載