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第10回:相手を思いやる心も〝携帯〟しましょう

早樫 一男 臨床心理士

携帯電話

携帯電話は今や、コミュニケーションの新しい手段・道具になっています。ところが、この便利な通信機器によって、これまでにない人間関係、新たな問題も生まれているようです。便利さの裏側では、いったい何が……。

「新学年になったら携帯電話を買ってあげるよ」

春、こんな約束をしているご家庭が結構あるかもしれませんね。実際、街角や駅のプラットホーム、電車の中、あるいは自転車や車を運転しながら(違反ですが…)等々、日常生活のあらゆる場面で携帯電話を見かけるようになりました。確かに、携帯電話はとても便利な道具です。ところが、自由に使えて便利なのに、思わぬことから不自由になるといったエピソードを聞くようになりました。携帯電話は人の心や人間関係、コミュニケーションのあり方にとても大きな影響を与えているようです。

発信したメールに対してすぐに返信がないと、反応までの時間に対して(勝手に)意味を込めてしまい、「嫌われているのではないだろうか……」と不安を募らせてしまう傾向。不安の量は返信時間に比例してしまうようです。

メールでのやりとりを「自分の方から切れない」「どこで切ったらいいのか分からない」と躊躇してしまう傾向。これも相手に嫌われるのではないかという気持ちが奥底に流れています。こんなカップルがいました。男性から女性に電話をかけた際、すぐに出ないと男性の機嫌がとても悪いというのです。出るまでに時間を要したり、一度目の呼び出しに出ないと、「いったい、何をしていたのか!」と、えらい剣幕で怒り始めるというのです。あるとき、男性から連続して十数回の着信履歴があって、女性は「ゾッとした」とのことでした。男性は「自分がかけたとき、相手が出るのは当然!」と思っているようです。相手の状況が分からないのに、自己中心的な発想に陥ってしまうわけです。このような出来事が続いたので、女性は男性との付き合いそのものを考え直そうとしたそうです。

新しい年度を迎え、人間関係も新しくなります。くれぐれも「一方的」「自己中心的」な心遣いにならないよう、また、道具に拘束されて心が不自由にならないよう、気をつけたいものですね。

いきいき通信2007年10月号掲載