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第14回:子どもの問題行動は親へのSOS

早樫 一男 臨床心理士

自家金品の持ち出し

子どもの初めての非行は、12~14歳ごろが最も多い。中学生になり交友関係の広がりや思春期特有の不安定な心理もありますが、その前に兆しが――。

A子さんは中学一年生。家族は銀行員の父、元保育士の母、二歳年上の姉の四人。これまで大きな問題はありませんでした。

ところが、中学入学後まもなく、スーパーで万引きをしました。友達と化粧品などをカバンに入れたところを警備員に見つかったのです。連絡を受け慌てて迎えに行くタクシーの中で、母親は「まさか? どうして?」と何度も自問自答したとのことです。「今回は警察沙汰にはしませんが、二度とこのようなことがないように!」と親子共々、繰り返し厳しく注意されました。母親から相談があったのは、それから数日後でした。相談のきっかけは、A子さんが小学四年のころ、母親の財布から何度かお金を持ち出したことを思い出したからでした。
「金品の持ち出しは父親が厳しく叱ったので収まりました。今回万引きした物はどうしても必要な物ではありません。心が満たされていないのでしょうか?」「とても大切なところに気付かれましたね。もう少しその当時のことを教えてください……」「何度か私の財布からお金を持ち出していたようです。そのころ、姉の中学受験や、義父母の介護のことなどで私自身が落ち着かず、バタバタしていて、しばらくしてから気がついた次第です」「それに、A子はおとなしい子で、姉を押しのけて自分の方から親に話をするタイプではありません。私もつい姉の方に関心が向いてしまいます。今思うと、姉と同じように親の関心を自分に向けたかったのかもしれませんね」

小学校時代に初発する自家金品の持ち出しの多くは、「お金が欲しい」というより、「親の財布=親のふところ=親の心(愛情・関心)」が欲しいからの行動と考えていいでしょう。

なお、背景にイジメがあり、金品を要求されていることも稀にありますので要注意です。いずれにせよ、子どもからのSOSは、親がしっかり受けとめる機会を子どもが与えてくれているのかもしれませんね。

いきいき通信2008年2月号掲載