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家は心安らぐ場所 -しあわせデッサン vol.1-

諸井 理恵 山名幼稚園理事長・園長
天理教山名大教会長夫人


おうちごっこ

園庭に日よけ用のテントを張ると、散らばっていた子供たちがわらわらと駆け寄ってきます。
屋根と柱や囲いがあれば、それは子供たちにとっては「家」となるようで、そこに何やら家財道具と思われる砂場の道具類を運び込む子や、三輪車を出し入れして、「車庫のつもりかな?」と思われる動きをする子も現れます。
皆さんも子供のころ、一度は段ボールなどで囲いを作って、わくわくウキウキと「おうちごっこ」で遊んだ経験があるのではないでしょうか。

さて、そんな幼いころの家に対するあこがれを、大人になって実現する日が来ます。
初めての一人暮らしの住まい選びは楽しいものです。でも、実際は条件との格闘。自分の収入に見合った家賃かどうかが最大の条件となるでしょう。
結婚すれば、二人で暮らす新居を考えます。最近は実家に同居するケースが少なくなって、若い夫婦がローンを組んで家を買うことが多いそうです。

以前、私が園長を務める幼稚園に、お子さんを入園させたいと希望していたご夫婦がいました。マイホームのローンを払うために、奥さんもフルタイムで仕事をしていました。ところが、子供の面倒を見てくれていた実家のお母さんが病気になったために、すぐに保育園に預けなければならなくなりました。「この幼稚園にぜひ入れたいという気持ちに変わりはないのですが……」と、残念そうに話してくださいました。
この幼稚園では放課後の預かり保育もあるので、共働きでも通わせられるようになっていますが、保育園のほうが都合が良いお宅もあるのです。

私も二十代のころ、仕事場兼自宅としてマンションを買おうかと考えたことがあります。もし主人と出会わなければ、ローンを組んで買う方向へ進んでいたでしょう。また、すでにローンを組んでいたら、「すみません。私にはローンがあるので、いまの仕事を続けなくてはなりません。ですから、あなたとは結婚できません」ということに、おそらくなっていたでしょう。

山小屋の番人

ところで、もしいまの職業でなかったらどんな暮らしをしたいかと、主人に聞いたことがあります。すると、「山小屋の番人!」とキッパリ。テントを背負って喜々として山に向かう姿から、きっと子供のころに、段ボールハウスでウキウキと遊んでいたに違いないと想像がつきます。
防音サッシの部屋で安眠したい私と、テントに寝袋で寝られるという主人。山小屋生活では一緒に暮らせないじゃない、という話になりますが、主人は山小屋に住んで、私は山の麓で食堂をやるというのはどうだろうか。たまに下界に降りてくる山小屋の番人に、美味しいご飯を用意して安らかにくつろいでもらうという、そんな関係もまた、いいかもしれません。
「安」という字は、うかんむりに女と書きます。きっと、屋根の下に女性がいると心が安らぐのでしょうね。

神様は、互いにたすけ合って陽気に暮らすさまを見て、共に楽しみたいと思われ、この世と人間をお造りくださいました。この神様が用意してくださった世界に暮らす私たちが、段ボールハウスのなかで楽しく遊ぶ子供のような姿だったら、安心して眺めてくださることでしょう。
そんな子供たちの遊びのなかでも、時にはがっかりするもような揉めごともありますが、明日になれば新しい遊びを見つけて楽しんでいるものです。

家も人も、神様からお借りしているものと教えられています。そもそも自分のものではないと思うならば、また所有することに縛られさえしなければ、人間はもっと自由でのびのびと暮らせるのではないでしょうか。そして家とは、そこに集う人の心に安らぎがあることが何より大切だと思うのです。

いきいき通信2018年3月号掲載