第20回:「心の敏感さ」を読む
早樫 一男

ファミリーツリー
縁あっての親子。ところが、親子をめぐる痛ましい事件が相次いでいます。今ある自分を基点に親また親……の軌跡をたどれば、今ある自分が奇跡であると思わずにはいられないでしょう。
家族について学びはじめたころ、家族関係の表し方を教わりました。
男性は□、女性は○、夫婦は男女を横線でつなぐ、子どもはその横線から縦線で下に書き、□や○を書くというものです。兄弟や祖父母など、できるだけ書くようにします。あるとき、わが家も大きな紙に家族図を作成してみることにしました。母親や親せきなどにも聞きながら、四世代前ぐらいまでのメンバーについて書くことができました。普段、交流があるメンバーは細かい情報まで知っていますが、近い親せきでも、ほとんど交流のないメンバーは、基本的な情報すら知らないことに気づきました。
一番若い世代を下に書き、だんだんと上に広がっていく家族の図は「樹木」に似ています。実際に「ファミリーツリー」とも言うようです。わが家のファミリーツリーを見ながら、夫婦の出会いの不思議さと、命が脈々とつながれていることの不思議さをあらためて強く感じました。横と縦の線のどこか一つが欠けてしまうと、「今ここ」に自分の命は存在しないのですから。
さらにまた、信仰によってたすけていただいた祖母の姿がなければ、その後のそれぞれの家族や、今の私たちの家族も存在しなかったことでしょう。夫婦となる親二人の出会いがあって、今の自分があります。夫婦にはそれぞれの両親四人が存在しています。ある人の計算によると、十代さかのぼると千二十四人の先祖、十五代さかのぼると三万二千七百六十八人、二十代だと百万人を超えてしまうとか。連綿と続く命の不思議さはまさに奇跡といえるものでしょう。今の子どもたちにもこの不思議さを伝えるようにしたいものですね。
実は、二月は私の誕生月です。わが家のファミリーツリーを見ていると、わが子からさらに次の世代へとつながっていく不思議な出会いに、喜びと感謝の思いがわいてきます。ぜひ、ファミリーツリーを作ってみてください。新しい発見がありますよ。
いきいき通信2008年8月号掲載