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第23回:解決の糸口見いだす父親の役割

早樫 一男 臨床心理士

男の子の成長

親からの自立と親への依存との葛藤のなかにあるといわれる思春期の子どもたち。揺れ動く心の拠り所は、やはり家族。とりわけ男の子にとって、父親の存在は……。

中学一年生のA君。不登校となった小学高学年のころから、母親と相談に通い始めました。母親は毎回、A君の様子を事細かく報告します。一方、口数の少ないA君と彼の担当者は、テレビゲームで一緒に遊ぶといった関わりを続けていました。

ある日、「相談の進め方について助言がほしい」と担当者が、私のところへやって来ました。家族について確かめると、両親とA君、そして一人暮らしの姉がいるとのこと。そこで、父親にも呼び掛けて、親子三人の面接を提案しました。担当者は「父親は仕事が忙しく、休むのは無理だと思います」と答えましたが、「ここはぜひ、お父さんの力をお借りしたい」と強調して伝えるよう重ねて助言しました。

母親を通して担当者からのメッセージを聞いた父親は、次の面接日、仕事の都合をつけて相談にやって来ました。半信半疑の担当者以上に意外に思ったのは、A君とのこと。面接では、相変わらずよくしゃべる母親、緊張のためか無口な父親という様子が見られたといいます。しかし、彼のことについて父親に尋ねると、言葉を選びながら語り始めました。A君は父親の思いや言葉を熱心に聞いていたそうです。その後、三人の定期的な面接が続きました。月一回の相談日には、仕事をやりくりして参加する父親の姿がありました。その姿は母親中心の対応からの変化につながり、またA君にとっては、それまで仕事で忙しく、話す機会もほとんどなかった父親という存在を実感する時間ともなりました。さらには、和やかな両親の関係も見られるようになりました。

父親の参加は、A君をとても勇気づけたようです。一度、放課後か夕方の時間に三人で、学校に行ってみるといった話題も出てきたとのことです。五月五日は「こどもの日」。端午の節句として男の子の健やかな成長を祝う日でもあります。「男の子は、父親付きで」という教祖のお言葉が浮かびました。

いきいき通信2008年11月号掲載