vol.20 子供のやる気を引き出す3要素
金山 元春
前回、児童期の心の発達には勤勉に何かに取り組むことが重要であると記しました。そこで今回は、子供のやる気を引き出すために大切な、三つの要素についてお伝えします。
一つ目は、子供の〝自律性〟を尊重することです。
大人側の「子供に、こうあってほしい」という思いを優先させるのではなく、「子供自身がどうありたいのか」という点に関心を示しましょう。
大人の期待を子供に伝えることは悪いことではありません。しかし、それが押しつけや無理強いになると、子供は意欲を削がれ、本来の力を発揮できなくなります。こちらの思いや考えを伝えつつも、「あなたのことを知りたい」「あなたの思いや考えを教えてほしい」という〝対話〟の姿勢を心がけましょう。
子供が自らの行動を選び、実行に移せるように、「私が見守っているから大丈夫だよ」「やってごらん」と勇気づけてください。
二つ目は、子供の〝有能感〟を重視することです。
大人はどうしても、子供のできていないことばかりが気になりますが、どの子にもできていることや、頑張っていることがあります。それを見つけて、具体的に伝えましょう。
同時に、「どうやってできるようになったの?」「頑張り続けられる理由は何?」と、子供の中の力のある部分に関心を寄せ、穏やかに尋ねてみましょう。子供からは、いろいろな答えが返ってくると思います。子供の答えには「へー」「なるほどね」と好奇心をもって耳を傾けましょう。こうしたやりとりを続けているうちに、子供は「自分はできる!」という自信を高めていきます。
三つ目は、子供との〝関係性〟を大切にすることです。
これは、子供の〝自律性〟と〝有能感〟を引き出す関わりにおいても、土台となっていることです。人は「人から大切にされている」「他者とつながっている」「自分には仲間がいる」という実感があると、「やってみよう!」という意欲が湧いてきます。子供の味方になるような気持ちで関わるとよいでしょう。
天理時報2019年7月7日号掲載