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天理高校 西田秀聖選手-IFSCクライミング・ワールドカップ ブリアンソン初優勝 –

来年の東京オリンピックの追加種目として正式決定し、盛り上がりを見せる「スポーツクライミング」。現在、IFSCクライミングワールドカップ派遣選手で、天理高校2年生の西田秀聖選手は、7月20日にフランスで行われた「IFSCクライミング・ワールドカップ ブリアンソン」リード部門に最年少選手として出場、各国のベテラン勢を抑えて初優勝した。世界で活躍するようぼく子弟を紹介する。

天理高の西田秀聖 選手

東京2020オリンピック・パラリンピックの開幕まで1年を切るなか、エジプトの柔道ナショナルチームが2日に来日し、同大会での〝ホストタウン〟である天理市で10日間の強化合宿を実施。天理大学柔道場で同大柔道部と共に稽古を行ったほか、並河健・天理市長を表敬訪問した。

「スポーツクライミング」は、ホールドと呼ばれる突起物に手や足をかけて人工壁を登る競技。その種目は三つある。ロープを使わずに、制限時間内により少ないトライ数で何通りのルートで登れたかを競う「ボルダリング」。ロープを腰に付け、フックを支点に掛けながら制限時間内に登った壁の高さを競う「リード」。壁を登りきる速さを競う「スピード」。オリンピックでは複合種目として行われ、3種目の合計点で順位が決まる。

西田選手は、小学3年生のとき、自宅近くのジムでクライミングを始めた。翌年からは大阪府堺市の有名ジムなどを練習拠点とし、週4日、父の登さん(40歳・下里分教会ようぼく)と共に通っている。

昨年の雪辱を誓い

西田選手は、これまでに各種ユース大会で活躍。特に「リード」を得意とし、中学3年時の「IFSCクライミング・アジアユース選手権大会」ユースB(2002年と03年生まれ)や昨年8月の「IFSC世界ユース選手権」ユースA(01年と02年生まれ)、11月の「アジアユース選手権」ユースA(同)などのリード部門で優勝している。
 最高到達点が12メートル以上にも達する「リード」。競技暦9年の西田選手でも「やっぱり落ちるのは怖い。だからこそ、しっかりホールドをつかむ」と話す。

西田選手の持ち味は、高い集中力と持久力。どんな状況でも上へ続くルートを探し出し、一手ずつ地道に登っていく。一方で「スピード」に関しては「瞬発的に動けないタイプなので、やや苦手」と。

中学までは父・登さんの指導を受けていたが、高校進学後は、練習メニューを自分で考えるように。「苦手なことや得意なこと、大会のスケジュールなどを考慮しながら、いまの自分に何が必要かを常に考えている」という。

着実に力をつけてきた西田選手は昨年、年齢制限のない「ワールドカップ」に初出場。4位入賞するなど健闘した。今年3月初旬に行われた「リード・ジャパンカップ」では7位入賞でワールドカップ出場資格を獲得。「今年は一つでも上の順位をねらって、表彰台に立ちたい」と雪辱を誓うとともに、「もう限界という状態から、あと何手出せるかという〝出しきり感〟を常に意識しながら練習してきた」。

迎えた7月の「リード」のワールドカップ第3戦となる「IFSCクライミング・ワールドカップ ブリアンソン」。西田選手は、出場選手中、最年少となった。予選では下位通過、準決勝も8位と厳しい試合が続くなか、なんとか決勝へ駒を進めた。
「調子は良くなかったけれど、決勝を迎えるころには体が温まってきた。ここまで来たら力を出しきるだけと思った」と振り返る。

その言葉通り、決勝では本領を発揮し、高度39+に到達。2位の選手を1手差で下すと、シニアも出場するワールドカップでの初優勝。念願だった表彰台の頂点に立った。
西田選手は「周りは格上の選手ばかりだったので、自分自身が本当に驚いている。決勝では、とにかく落ち着いて登れたのが大きかった。この後には、ジュニアオリンピックカップや国民体育大会も控えている。良い流れのまま臨みたい」と話している。

天理時報2019年9月1日号 掲載