“猛打の天理”5年ぶりV-天理高校野球部-
強豪ひしめく近畿制す
「明治神宮大会」出場へ
天理高校硬式野球部は先ごろ、奈良県橿原市の佐藤薬品スタジアムで行われた「秋季近畿地区高校野球大会」に出場。準決勝で今夏の甲子園覇者・履正社高校(大阪)にサヨナラ勝ちを収めると、4日に行われた決勝で強豪・大阪桐蔭高校を破り、5年ぶり9回目の優勝に輝き、近畿を制した。この結果を受けて、15日に開幕する「明治神宮野球大会」に近畿地区代表として出場する。
今年のチームは、エースの庭野夢叶投手(2年)を中心に、特に内野陣の堅守が特長。打撃面でも、一番打者としてヒットを量産する下林源太キャプテン(同)のほか、長打力の高い選手が多くそろう。
9月初旬に行われた県予選では、準決勝で智辯学園高校に敗退。その後、3位決定戦で奈良高校に勝利し、近畿地区大会への出場を決めた。
近畿大会の初戦。兵庫県1位の報徳学園高校との対戦では、投打が?み合って7‐1で勝利。続く準々決勝の奈良県2位・奈良大学附属高校戦でも猛打が爆発、14‐0と快勝した。
甲子園覇者 2校に勝利
準決勝は、大阪府2位で今夏の甲子園の覇者・履正社高との対戦となった。
序盤、天理高は相手投手に翻弄されてホームを踏めない。一方、三回、七回にそれぞれ2失点し、0‐4のビハインドに。
迎えた七回裏。ツーアウト一、二塁の好機をつくると、庭野選手がライト深くへ二塁打を放ち、2点を返す。続く下林選手もタイムリーヒットで3‐4と1点差に迫る。
九回裏、ツーアウト一、二塁の場面で、杉下海生選手(1年)がライト前ヒットを放って同点。最後は河西陽路選手(2年)が左中間へ弾き返し、5‐4とサヨナラ勝ちを収めた。
5年ぶりに臨む決勝の相手は、大阪府1位で昨夏の甲子園覇者・大阪桐蔭高。
天理高は一回表、ワンアウト一塁から河村拓民選手(同)がレフトスタンドへ先制ホームラン。
この日の先発は、公式戦初先発となった達孝太投手(1年)。試合開始30分前に先発を告げられ、「かなり緊張した」と話しながらも、身長192センチから投げ下ろす角度のあるストレートを武器に”王者”の強力打線を抑えていく。
一方、天理高打線も序盤こそ抑えられたものの、六回表に山元太陽選手(2年)のスリーランホームランを含む一挙5得点と、自慢の打線が火を吹き、試合の流れを一気に引き寄せる。
達投手は八回途中まで被安打5、4失点の好投を見せ、エース庭野投手にバトンタッチ。後続を抑えた。
九回、天理高はさらに追加点を挙げて12‐4。16安打の猛攻で5年ぶりの近畿地区優勝を決めた。
中村良二監督(51歳)は「並み居る強豪校を倒しての優勝。大会中に成長した選手たちを褒めたい。特に決勝に登板した達は、いつ引っくり返されるか分からない相手に対し、しっかりゲームをつくってくれた。これから明治神宮大会に向けて調整していきたい」と話した。
下林キャプテンは「県大会で負け、そこから全員がチームのために一つになろうと話し合った。近畿地区大会では、一戦一戦、一丸となって戦い、強豪校に勝ったことで自信がついた。全国各地で応援してくださる方々への感謝の気持ちを忘れずに、明治神宮大会も戦い抜きたい」と語った。
なお、天理高は15日から東京都の明治神宮野球場で開催される「明治神宮野球大会」に近畿地区代表として出場。初戦は16日、東北地区代表の仙台育英学園高校(宮城)と対戦する。
天理時報2019年11月10日号 掲載