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2年連続4度目の最高賞-天理高弦楽部-

天理高校弦楽部は3日、福島県郡山市のけんしん郡山文化センターで開かれた第8回「日本学校合奏コンクール2019全国大会」(主=同委員会、後援=文化庁ほか)ソロ&アンサンブルコンテスト高等学校の部に出場し、最高賞である「文部科学大臣賞」を2年連続で受賞。同賞に輝くのは、4年前の初出場以来4度目。

このコンクールは、子供たちの音楽性と演奏力を高めるとともに、豊かな情操と人間性の育成を目指して7年前に始まったもの。楽器編成のジャンルに制限を設けない、国内唯一のジュニアのコンクールだ。
同部は4年前、天理教音楽研究会「弦楽教室」に通う4人の部員がカルテットで初挑戦し、「文部科学大臣賞」を受賞。以後、選抜メンバーによる弦楽合奏でも出場を重ね、欠場した一昨年を除き、すべて1位に輝いている。
今回のコンクール出場について、新誠一部長(38歳)は「5年前、東日本大震災の被災地で慰問演奏したことがある。コンクールに出場できることが当たり前ではないと、生徒に繰り返し伝えてきた」と話す。
同部には、入部して初めて楽器に触れる部員も多数いる。中学時代、運動部に所属していた沢村直弥さん(3年・ビオラ)は「入部当初は不安もあったが、先輩や先生が丁寧に教えてくださる中で、楽器を弾くことがとても楽しくなった。卒業後もビオラを続けていきたい」と話す。

緻密な表現の難曲 イメージを共有し

今年のコンクールに向けて練習した曲は、D・ショスタコービッチ作曲の『室内交響曲』。1960年、ドイツ・ドレスデンで戦争の惨禍を目の当たりにしたショスタコービッチは、旧ソ連の圧政下で精神的荒廃に追い込まれた自身への献呈として、同曲をわずか3日間で完成させる。曲中には、作者のイニシャル(D・SCH)を音で表したテーマが随所に現れる。
この曲について、上田真紀郎コーチ(42歳)は「作曲者の苦悩が緻密に描かれており、難易度が非常に高い。曲想を含め、当初は高校生に取り組ませることにためらいもあったが、令和という新たな時代を迎えたいま、曲の背景を学ぶことが、平和について深く考えるきっかけになればと思った」と振り返る。
全国大会の「高校の部」には、録音審査を経て、本選へ進んだ9校が出場。午後6時半、直前のリハーサルを終えた部員たちは、心を一つにしておぢばを遥拝した。上田コーチから「思いきっていきましょう!」とステージへ送り出されると、客席に向かって一礼、静かに楽器を構えた。
張り詰めた空気のなか、チェロとコントラバスが、重々しくテーマを奏で始める。直後にバイオリンとビオラの音が重なり、戦争が激しさを増していく様子を表現すると、場内の緊張も高まる。中盤では、軍隊が反政府者の家の扉を叩き、連行していく“粛清”のシーンも描かれる。最後は犠牲者への慰めのメロディーを経て、静かに幕が下りた。
結果発表では、同校を含む5団体が「金賞」受賞。最後に、司会が「文部科学大臣賞  73番、天理高等学校」とアナウンスした瞬間、部員たちは歓喜の声を上げ、涙を流した。
プロ奏者や指揮者から成る審査員たちは「大きなエネルギーを感じる演奏。どのパートも素晴らしく、全体の統一感も相当高い」「戦争を体験したことがない世代が、こうした曲を演奏する意義は大きい。聴きごたえのある演奏だった」と高評価。審査員の5人中4人が技術点・芸術点ともに満点をつけた。
大会を終え、キャプテンの湯川明音さん(2年・チェロ)は「2年連続で受賞できて本当にうれしい。部員同士で曲のイメージをしっかりと話し合い、その通りに表現できたと思う。これからも、さらに上達できるよう練習を重ねていきたい」と語った。

天理時報2019年11月24日号 掲載