vol.25 若者に信頼される大人とは
金山 元春
前回、成人期の発達課題は、〝次世代を育てること〟であるとお伝えしました。それでは、次世代から「この人が言うのならやってみよう」と思われる大人になるには、どうすればいいでしょうか。
人から何かを言われて「その通りだな。やってみよう」と思えるかどうかは、話の内容はもちろんですが、それを誰から言われるのかにもよります。
実際、Aさんに言われると納得して動けるのに、同じことをBさんに言われても納得できないことがあります。そこにあるのは「Aさんは信頼できるが、Bさんは信頼できない」という信頼感の差でしょう。
そこで今回は、青年層に「信頼できる大人」について回答を求めた調査の結果を示しつつ、各項目について、私が考える具体的な方法をお伝えします。
以下、回答数が多かったものから順に紹介します。
第1位は「話を聴いてくれる」です。これは何でもかんでも「うんうん」とうなずいていればいいということではありません。頭ごなしに決めつける態度はもちろんいけませんが、分かった気になっている大人のことも青年は信頼しません。
大切なのは相手を理解しようとする姿勢です。たとえ理解しがたいことがあったとしても、それを素直に認め、むしろ教えてもらおうとする姿勢が、相手からの信頼を得ることにつながります。
第2位は「認めてくれる」です。最近では褒めることが強調されがちですが、上から目線で評価するような態度は逆効果です。あなたは、「おー、えらいえらい」と言われて、良い気分になるでしょうか。おすすめは「ありがとう」「うれしい」「たすかった」という気持ちを伝えることです。「自分は役に立っている」という相手の貢献感を向上させるような関わり方を心がけましょう。
第3位は「自分の思いを語ってくれる」です。青年に何かをするように伝えても、「どうしてこれをする必要があるのか」などと反論してくることがあります。厄介でしょうが、これまでエッセーでお伝えした通り、それが青年期です。その場を取り繕うだけの、おざなりな対応では信頼されません。相手に、なぜそれを求めるのかについて、自分の思いを自分の言葉で語ることが大切です。
第4位は「約束を守る(言葉と行動とが一致している)」です。言うこととすることがずれていては、信頼が崩れます。相手に求めるならば、まずは自分からという気概が必要です。
第5位は「笑顔」です。「この人といるとホッとするな」という安心感が、「この人が言うのなら大丈夫だな」という信頼感へとつながります。上位のものが難しいと感じる方は、まずは笑顔から始めてみるのがいいかもしれません。
天理時報2020年2月2日号掲載