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世話を通じて癒やされ-天理大学馬術部-

春の朝日に照らされた馬場に、いななきが響きわたる—。
天理大学馬術部の厩舎は、天理高校西山校舎の南側に位置する。馬の餌やりや運動、馬房の掃除などの飼育活動は、部員やOB・OG約10人が交代で続けている。
同部は昭和8年、天理大の前身である天理外国語学校時代に創部。戦後は厩舎に馬が一頭もいなくなるなど、一時は部の存続も危ぶまれたが、関係者の熱意によって現在に至る。
6人の部員のうち、馬術経験者は一人。部員の多くが初めて馬に触れるというなか、同部のOBで、現役時代は「全日本学生賞典障害飛越競技」で3位入賞した岡田大監督やコーチの指導を受けながら、馬について日々学んでいる。
同部が所有する馬匹は、芦毛の天樹(ニックネーム=なつめ)、鹿毛の天優(ピノコ)の2頭のサラブレッドと、半血種の鹿毛の天紫(シキブ)の3頭。なかでも、先日8歳を迎えたなつめは、日本中央競馬会(JRA)在籍時に「クインズエキシート」の馬名で3勝を挙げている元競走馬だ。
朝の餌やりは7時に始まる。馬の消化器官は繊細なため、乾草などの粗飼料を1日4回に分けて与えている。
9時からは、馬の手入れと運動の時間。病気などを予防するため、蹄の間に溜まったごみを部員たちが丁寧にかき出していく。その後、馬の背に鞍を取りつけたら西山古墳北側の馬場へ(写真)。
1時間ほど馬を走らせた後は、放牧してリラックスタイム。坂本拓哉主将(3年)は「特にシキブは放牧の時間が大好きで、厩舎に戻るのを嫌がることも少なくない」と笑う。
厩舎に戻ると、鞍を外して丁寧にブラッシング。肩や背中など、それぞれの馬にとって気持ちのいいところをこすってやると、鼻を伸ばして喜ぶという。
坂本主将は「馬はとても繊細な動物で、さまざまな表情で感情を伝えてくる。いまではどの馬もかわいくて、お世話を通じて、こちらが癒やされる」と話す。


また、同大では一昨年から、JRA調教師で、一般財団法人「ホースコミュニティ」代表理事を務める角居勝彦さん(鹿島大教会大輪布教所ようぼく)をアドバイザーに迎え、ホースセラピーについて検討開始。昨年5月には講演会を開いた。さらに先日、新たに専任コーチを招いたという。
谷口直子部長は「大学として社会貢献につながる活動に携われる可能性に期待している。不登校の子供たちが馬と触れ合えるような活動を目標に取り組んでいきたい」とコメントした。

天理時報2020年4月19日号 掲載