天・理・見・ど・こ・ろ・探・訪vol.15

〝まほろば〟を感じる「元伊勢」の伝承地(桜井市三輪)
穏やかな冬晴れの日、山の辺の道を歩きました。「日本最古の道」といわれるこの道を訪れるのは何度目になるでしょうか。
沿道には、記紀や万葉集に登場する地名のほか、古社、古墳などが数多く点在しています。その中に「元伊勢」として知られる檜原神社があるのをご存じですか?
元伊勢とは、宮中に祀られていた天照大神を、伊勢神宮へ遷座する前に祀っていた場所。時の崇神天皇は、娘の豊鍬入姫命に命じて神様の〝お住まい〟を探します。伊勢神宮に決まるまでの間、二十数カ所の地を巡ったといいます。その最初の場所が檜原神社だったというのです。
あたりを散策していると、池の堤に小さな歌碑を発見しました。「大和は国のまほろば たたなづく……」。
古事記に出てくる、有名な倭健命の歌です。ここから奈良盆地を眺めると、青い垣根のような、なだらかな山々に囲まれた大和は、本当に美しい国だと実感できます。
神社へ戻り、向かいにあるお茶屋さんで、ぜんざいと甘酒を頂きました。温かいぜんざいに、身も心もほっこり。
この檜原神社は夕陽のスポットとしても有名で、二上山に沈む夕日を狙って大勢のアマチュアカメラマンが集まるそうです。私が訪ねたのは、ちょうど満月の日。人工の明かりがほとんどない所なので、日が沈むと、池に映った月が風に揺れて、幻想的な写真になりました。
- 日が沈んだ後、満月が東の山から姿を現します
- 歌碑の筆者は川端康成とのことです
- 焼き餅入りのぜんざい、小豆は地物です