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〝馬の生きる道〟名調教師と共に

西崎 純郎岡山乗馬倶楽部代表取締役 NPO法人「吉備高原サラブリトレーニング」理事長


 
「名調教師、電撃引退」。先ごろ、競馬界を大きなニュースが駆け巡った。『すきっと』最新号に登場したJRA(日本中央競馬会)調教師の角居勝彦さん(53歳・鹿島大教会大輪布教所ようぼく)。惜しまれつつも3年後の引退を決意した角居さんが、力を注いでいるプロジェクトがある。引退した競走馬の〝第2の馬生〟を模索する「サンクスホースプロジェクト」だ(詳細は同誌参照)。
 そのプロジェクトを共に支えているのが西崎純郎さん。「人と馬が共に生きる社会」のあり方を探る西崎さんに、話を聞いた。

――乗馬倶楽部と共に、NPO法人「吉備高原サラブリトレーニング」も運営されています。どのような活動をされているのですか?

 2016年に、角居先生が発起人となって立ち上げた一般財団法人「ホースコミュニティ」は、馬主や調教師をはじめ、乗馬クラブ、牧場が協力する形で、引退後の競走馬のリトレーニング(再調教)、セカンドキャリアの構築、その管理・運営をサポートする団体です。

 私が代表を務めるNPO法人は、そのリトレーニングを監修する団体の一つです。引退馬を受け入れ、約6カ月間再調教する一方で、新たな活躍の場を探し、馬との〝マッチング〟を行っています。

――いまの仕事を志したきっかけは?

 中学生のとき、僕も人並みに反抗期がありまして(笑)、学校に行かない時期があったんです。そのとき、両親が連れていってくれたのが、乗馬倶楽部でした。
 馬の体温って37.5度前後あって、人間の赤ちゃんのように温かいんです。馬に触れて、またがったとき、癒やされるというか、心に〝何か〟を感じて。すぐに馬が大好きになりました。


 国体に出場するなど馬術の実力をつける一方、高校卒業後は乗馬倶楽部で勤務。9年前、岡山県吉備中央町に「岡山乗馬倶楽部」を開設した。
 2年前には、〝馬の福祉〟を進めるうえから、同NPO法人を設立。馬と触れ合うことで心理療法を行う「ホースセラピー」や、障害者福祉に馬を活用するために、気性が荒い競走馬たちの再調教を行っている。
 現在、厩舎にいる60頭のうち16頭が元競走馬。「ホースコミュニティ」のパートナー団体として、第2の馬生であるセカンドキャリアに結びつけた馬は30頭以上を数える。

――大きな注目を集めている活動を、ようぼくであるお二人が担っているのですね。

 競走馬の世界は過酷で、日本で生まれる約7千頭のうち自分の子孫を残せる馬は、数%だけです。そのほかは食肉処理されている。
 乗馬用の馬は競走馬よりも長い期間活躍できますが、それでも、最期を看取ってもらえる馬というのは、ごくわずかです。それでいいのだろうか――と考えていたとき、角居先生にお会いしたんです。
 実は、角居先生がお道の人だとは、全く知りませんでした。現役を引退した馬が再び活躍できる道はないか、それには人と馬が共に暮らせる社会が必要だ――そんなことを語り合う中で、お互いにようぼくだと知り、本当に驚きました。すぐに「一緒にやりましょう!」となって、いまに至っています。

――〝はたらく〟ようぼくとして思うことは?

 自分の人生は、馬にたすけられた人生だと感じているんです。馬に恩返しがしたい。馬が人をたすけ、人も馬をたすける。生活に馬が必要でなくなった現代でも、そんな関係を築くチャンスは、ホースセラピーなどの形で、まだ眠っていると思うんです。
「そうだよね」と言ってくれる人を一人でも多く見つけ、一緒に活動を進めていければと思っています。

COLUMN
サンクスホースプロジェクト
 一般財団法人「ホースコミュニティ」(角居勝彦・代表理事)が発起人となり2016年にスタートしたプロジェクト。
 馬主や調教師、各地の乗馬クラブや牧場が協力する形で、引退後の競走馬のリトレーニング(再調教)、セカンドキャリアの構築、その管理・運営をサポートしている。
 リトレーニングを監修する団体の一つ、NPO法人「吉備高原サラブリトレーニング」(代表=西崎純郎・岡山乗馬倶楽部代表取締役)は、このプロジェクトのパートナーとして引退馬を受け入れ、約6カ月間訓練したうえで、引退馬と新たな活躍の場のマッチングを行っている。
「サンクスホースプロジェクト」公式HP

「吉備高原サラブリトレーニング」公式Facebook

同NPO法人では、活動に対する支援を「ふるさと納税」の形でも募っている。→こちら

天理時報2018年1月28日号掲載


【にしざき・すみお】1982年、東京都生まれ。岡山県馬術連盟理事。日本馬術連盟A級ライダー。馬術選手として、岡山県トップアスリート賞をはじめ、入賞・受賞歴多数。常磐分教会ようぼく。35歳



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