全国大会 3年連続金賞 〝世界一〟の指導受け 表現力磨き心一つに 天理高校バトン部
天理高校バトン部

昨年12月9日、千葉市の幕張メッセで。写真提供=オールスポーツ
天理高校バトントワリング部は昨年12月9日、千葉市の幕張メッセで開催された第45回「バトントワーリング全国大会」(主催=一般社団法人日本バトン協会)高等学校の部・バトン編成に出場し、初受賞から3年連続となる金賞に輝いた。
地方予選を勝ち抜いた学校が〝バトン日本一〟を競う同大会。天理高バトン部は一昨年、初の金賞に輝き、昨年も同賞を受賞。部員の中には、レベルの高い演技に憧れて入部した生徒も少なくないという。
同部は昨年4月、鈴木治さん(22歳・愛町分教会愛清布教所ようぼく・京都市)を新コーチに迎えた。鈴木コーチは日本バトン界の第一人者として知られる稲垣正司氏のもとで研鑽を積み、これまでバトントワーリングの世界大会で数々の栄冠に輝き、昨年は初の個人優勝も果たした。
今年の大会で披露した演技テーマ「Pierrot」の振り付けも鈴木コーチが担当。世界中で公演しているエンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の使用曲に合わせ、ピエロの多彩な表情をバトンや身体の動きで表現するという。
自分の役割を意識し
「こどもおぢばがえり」でのステージパフォーマンスや、夏の甲子園スタンドでのチアリーディングを終えた昨年8月、この大会に向けて本格的な練習がスタート。翌9月には、全国大会の予選が始まった。 今年のメンバーには3年生部員が少なく、大会出場メンバー25人のうち、1年生部員が7人を数える。
阿部祥子部長は「正直言って、1年生が多い今年は全国大会で戦える技術レベルではなかった。そこで、作品のメッセージ性を伝える表現力を磨くことが鍵になると考えた」と話す。
鈴木コーチの指導は週1回。身体表現に徹底的にこだわるコーチから数々の課題が出されるなか、後輩の指導もする、ある3年生部員は「自分の練習だけでも精いっぱいなのに、初心者の1年生に、どう教えればいいのか悩んだ」と打ち明ける。1年生のミスが続いて練習が停滞し、チームの雰囲気が悪くなることもあったという。
さらに、鈴木コーチのアドバイスは技術面だけでなく、メンバーの心構えにも及んだ。
上田おていキャプテン(3年)は「コーチの指導はとても厳しく、最初は戸惑った。でも『周りの人に感謝してね』といった言葉の一つひとつが胸に治まっていき、心に余裕が生まれた」と振り返る。
部員たちは「『こどもおぢばがえり』で、たくさん声援を頂いたこと」「保護者が手作りで衣装を仕上げてくれたこと」などへの感謝の思いを胸に演技し、予選を次々と突破していく。一人ひとりが「自分のレベルに応じた役割がある」と意識することで、演技に一体感が生まれ、チーム全体の表現力にも磨きがかかった。
全国大会直前、3年生部員がけがをして、振り付けを大幅に変更するなどのトラブルがあったものの、当日は全員で演技。3年連続の金賞を受賞した。
全国大会後の12月末、同テーマで臨んだ第38回「関西中学校・高等学校バトントワーリング大会」では、審査員から「テーマがしっかり生かされ、印象的な作品」と表現力を高く評価され、金賞に加えて特別賞を受賞。3年生の〝引退試合〟に花を添えた。
鈴木コーチは「課題に直面したとき、原因を外部に求めるのではなく、いつも『自分がどう変われるか』を意識するように指導してきた。苦労や達成感など、作品づくりを通じて得たものが、部員たちの今後の人生で生かされれば」とコメントした。
天理時報2018年2月11日号掲載
- 天理高バトントワリング部のメンバーは、「Pierrot」をテーマにコミカルな演技で表現した(昨年12月9日、千葉市の幕張メッセで。写真提供=オールスポーツ)