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すぐに、具体的に、褒める

金山 元春高知大学准教授
本部直属淀分教会淀高知布教所長


前回は、ある行動を子供に身に付けさせるには、曖昧な言葉を使わずに、望ましい行動を具体的に伝えることが重要だと話しました。
あいさつを例に挙げれば、「きちんとあいさつしなさい」と言うよりも、「相手の顔を見て、笑顔で大きな声でこんにちは、って言おうね」などと伝えるほうがいいということです。

こうした行動を定着させるためには、行動した後がとても大切です。
ある行動の後に好ましい結果が伴うと、その行動は繰り返される。これは心理学で明らかにされている法則です。私たちがあいさつを続けるのは、あいさつが返ってくるからです。

このように、ある行動が日常生活で繰り返されるのは、その行動に好ましい結果が自然に伴っているからです。
ある行動を子供に新たに身に付けさせたいときには、当初は好ましい結果を意図して与える必要があります。

その際に有効なのは、褒めることです。留意点は、
①その場ですぐに褒めること 
②具体的な行動を褒めることです。

特定の行動を身に付けさせたいのであれば、一日の終わりに「今日はとってもお利口だったね」と伝えるだけでは十分ではありません。
たとえば、あいさつができたら「相手を見て、大きな声であいさつできたね」と、その場ですぐに具体的に褒めることが重要です。

また、新しい行動を身に付けさせるときには、最初から多くを求めずに、少しずつ積み上げていくことも大切です。
あいさつの例でいえば、たとえ小さな声でも、まずは相手を見て「こんにちは」と言えれば良しとし、そのことを褒めます。そして、その行動が定着してきたら、次にもう少し大きな声で言えることを目指す、という具合です。

一方で、大人として気をつけるべきことがあります。人は他者を〝モデル〟にすることで新たな行動を学びます。心理学では、これを「モデリング」と呼んでいます。簡単に説明すると真似することです。子供は身近な大人の行動から、たくさんのことを学んでいるのです。

このモデリングが、大人にとって真似してほしい行動にだけ生じればいいのですが、残念ながら真似してほしくない行動であっても生じます。皆さんは、自分とそっくりに振る舞うお子さんを見て、苦笑いすることはありませんか。

子供に何かを教えようとするなら、まずは自らの立ち居振る舞いを見直すことから始める必要があるといえるでしょう。

天理時報2018年2月18日号掲載