Second Episode「親神様のご守護」
平野総吉
帝王切開での出産
妻が帝王切開での出産を告げられてから、手術の日取りが決まったり、帝王切開の説明を受けたりと、子どもの生まれる準備が進んでいきました。
そんな日々の中で、親神様・教祖にお願いすることはもちろんのこと、「子どもの頭が下がらないのは、親の頭が高いからでは」と悟り、私たち夫婦は心を低く、頭を低く通らせてもらう心定めをしました。
しかし、子どもの頭が下がることなく手術の日を迎えました。
帝王切開という言葉は知っていたものの、心のどこかで「楽に出産ができる」と思っていました。
しかし、実際はわが子のために手術台に上がり、お腹を切り、子宮を切って赤ちゃんと胎盤を取り出します。
その際、出血多量により命の危険を伴うこともあり、まさに命懸けの手術となります。
また、麻酔のおかげで痛みはないものだと思っていましたが、皮膚や臓器を切って縫い合わせているために、術後、麻酔が切れると猛烈な痛みに襲われます。
その痛みに耐える妻の姿を見て、帝王切開が決して楽ではないこと、そして立派な出産だということを知りました。
帝王切開による出産では通常、その影響で以後、自然分娩ができなくなります。
そして、そのことに妻も落ち込んでいました。
そんな時、ようぼくの助産師さんが、「お産が終わった後に、家族が増えていることが何よりで、減ることもあるんですよ。帝王切開も神様がお働きくだされてこそ。これからの子育てが大切ですよ」と、声を掛けてくださいました。
出産の形はどうであれ、母子共に健康な状態で出産を終え家族が増えたことが本当にありがたく、心から感謝させていただきました。
お医者さんからは、「2人目以降も帝王切開で、子どもは3人まで」と告げられました。
しかし、現在4人の子どもをお与えいただいています。
それは、2人目からは自然分娩で出産することができたからです。
ある日、全国でも有名な大阪の病院で診察を受けた時に、帝王切開から自然分娩にチャレンジできる「V B A C(ヴイバック)」という方法があることを知りました。
しかしそれは、縫い合わせた子宮が万が一分娩中に破裂してしまうと、母子共にかなり危険な状態になるというリスクを伴ったのです。
そのようなリスクを背負ってまでV B A Cで出産をするのか、妻と何度も話し合いを重ねました。
妻の大家族への憧れ、また陣痛を経験したいなどの思いもあり、親神様・教祖にしっかりもたれ、V B A Cで出産することを決意しました。そして、無事に次女が産まれ、その2年後には三女も自然分娩で出産することができたのです。
改めて感じたご守護の世界
順調に子どもをお与えいただき、4人目の子ども、長男をおなかに授かった妊娠7カ月目のこと。
妻が陣痛のような痛みがあると言い出したのです。
詳しく検診してもらうと、赤ちゃんがかなり下がってきていて、「切迫早産」と診断されました。
とにかく安静にして、1日でも長くおなかに居させてあげることが最優先であるとのことで、入院することになりました。
しかし、入院して数日後に陣痛が始まってしまい、わずか1012グラムの超未熟児で長男は生まれました。
生まれたばかりの長男は、身体の全てが未熟で呼吸すらできず、人工呼吸器が着けられ、鼻から胃に管が入れられるなど痛々しい姿でした。
長男の姿に混乱している私に、新生児科医の先生がこれからのことを説明してくれましたが、何も耳に入ってきませんでした。
ただ、「私たち医者には、赤ちゃんの生きる力をサポートすることしかできません。赤ちゃんの生きる力を信じてください」
「どれだけ医学が進歩しても、始まった陣痛を止めることはできません。どれだけ適切な処置をしても、突然息を引き取ることもあります」という言葉だけが心に残りました。
どれだけ医療が進歩しようとも、全ては親神様のご守護があってこそ、私たちは生かされています。妻の出産を通して、改めて生かされている喜びを感じました。
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