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天・理・見・ど・こ・ろ・探・訪vol.16


最古の市場として栄えた「海石榴市」の椿山(桜井市慈恩寺)

ツバキは「椿」の文字通り、春を告げてくれる花です。今回は、知られざるツバキの名所「椿山 山の辺」を訪ねました。

三輪山の南西に位置する桜井市金屋付近は、古代には水陸の交通の要衝であったことから、「海石榴市」と呼ばれる市が立ったといいます。

その日は多くの人々で賑わい、男女が求愛の歌を詠み合う「歌垣」も行われたようです。
周囲に多くのツバキが植わっていたことから、この名がついたと伝えられています。

近鉄大和朝倉駅から北西へ徒歩10分。門をくぐると、一人の男性が花の手入れをしていました。
海石榴市の名を後世に残そうと、自ら辺りの山を買ってツバキを植え始めた父親の跡を継ぎ、2代目の〝椿守り〟をしているそうです。
「この山のツバキは約1千種、ここにしかない品種もあります。慶事に使われる『松竹梅』は、昔は『松竹椿』でした。それほどツバキは高貴な花で、庶民の栽培を許さなかった将軍もいたそうです」と教えてくださいました。

山道を進むと深紅や白、マーブル模様など、色とりどりのツバキが咲いています。
なかには、この地の伝説に由来する「影媛」と命名された品種も。山頂からは大和三山が一望できます。

帰りは三輪山のふもとで、奈良県産の大和芋を使った「とろろめし」を頂きました。あでやかに咲く花々に、春の訪れを感じた一日でした。

いきいき通信