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大きい人「エレン」-幸せへの四重奏vol.11-

元渕 舞ボロメーオ弦楽四重奏団ヴィオラ奏者


この8月で結婚15周年を迎える。
私の主人・エレンは、ボストン生まれのユダヤ系アメリカ人だ。
結婚当初に覚えた日本語は「大丈夫」。なぜなら、194センチの体格で、日本に来たときにあちこちで頭をぶつけて、周りに心配されたからだ。
大きい体なのに、小さいクモを見て叫び声をあげる。

そんな主人の一番いいところは心の大きさだ。
この15年間で声を荒げたことは一度もない。いつもどんと構え、何でもこいである。
主人は高校時代、成績はトップ。

卒業式には卒業生を代表してスピーチしたほどだ。
受験校はすべて受かり、最終的にハーバード大学の数学学部かボストン大学の音楽学部かとなったとき、全額奨学金をくれる音楽学部を選んだ。
数学は得意だが、自分は音楽なしでは生きていけないと思ったからだそうだ。
いま考えれば、音楽を選んでいなければ私と出会うことはなかったのだから、神様がお導きくださったのだろう。

主人と出会ったのは、私がライス大学音楽学部の大学院在学中だった。
作曲専攻だったエレンの曲を私が演奏したことで知り合った。
でも、ただの知り合いという程度で、たまたま卒業後は二人ともボストンへ移ったが、連絡を取ったこともなかった。
卒業から10カ月後、偶然にも同じ飛行機の隣の席になり、その時は話が弾んだものの、また会うことなく1年半が過ぎた。

2002年の夏、タングルウッド音楽祭で演奏した際、そこで作曲を教えていたエレンが来てくれ、「また今度!」と言って3カ月が経った。
その後、秋にやっと二人で会う機会があり、それが結局初デートとなった。
付き合いだして半年で婚約し、8月におぢばで結婚式を挙げた。
おつとめ衣のサイズが合わず、袖や裾も短かったが、堂々としているように見えた。

結婚当初、主人の仕事はキリスト教教会のオルガン奏者のアルバイトだけだった。
それまでオルガンを触ったこともないエレンの人柄に惚れた牧師さんが、オルガンのレッスン代を教会が払うからと雇ってくれたのだ。
日曜日のミサの前後に、自分の作曲したピアノ曲を弾かせてくれ、それを聴きに人が集まってくるようになった。
そのうち、子供のピアノの先生になってくれと頼まれ、最初は1人だった生徒も口コミで増え、いまや50人以上になった。

親子から大人気の理由はエレンの人柄。
子供たちが音楽を大好きになるよう教えるのが得意だ。先生が厳しくて音楽が嫌いになってしまった子供たちも、毎週エレンに会うのが楽しみだという。
エレンは子供たちに夢と希望を与えている。
そして今日も、彼のモットーである「音楽が世界を救う」を実践している。

天理時報2018年6月10日号掲載