天・理・見・ど・こ・ろ・探・訪vol.21

〝古代の都〟に残る日本の原風景棚田とヒガンバナ
澄んだ青空が広がった日、ヒガンバナを見に明日香村を訪れました。飛鳥は聖徳太子ゆかりの地で、古墳や遺跡、石造物などが多く、まさに〝古代史ミステリーの宝庫〟です。
石舞台古墳の南に広がる「稲渕の棚田」は、なだらかな斜面に大小300枚ほどの水田があり、その間を縫うようにヒガンバナが咲いています。黄金色に染まり始めた稲穂と真っ赤な花のコントラストがとてもきれいで、思わず見とれてしまいました。
飛鳥時代の権力者であった蘇我蝦夷、入鹿親子が大邸宅を構えていたという、甘樫丘に登ってみました。頂上からは、遠く大和三山が望めます。近くには、乙巳の変(大化の改新)で殺害されて飛んできたという、入鹿の首を供養するために建てられたと伝わる「首塚」がありました。
別の伝承によると、入鹿の首は中臣鎌足を追い回し、鎌足は多武峰方面へ逃げたそうです。そこで私も、後を追って東へ。たどり着いた気都和既神社の境内は、鎌足が「もう来ぬだろう」と言ったことから、「もうこの森」と呼ばれているとのことでした。
帰り道、大和三山の一つである天香久山の近くのお店で、古代のチーズを再現した「飛鳥の蘇」を買いました。ほんのり甘く優しい味は、赤ワインに合いそうです。
<のどかな田園風景のなか、1400年前の都に思いを馳せた一日でした。
- 稲渕の棚田は「日本の棚田百選」に選ばれています
- 蘇我蝦夷の父・馬子の墓と伝えられる石舞台古墳
- 蘇は超高級品で、貴婦人の美容食でもありました