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第8回:感情はぶつけるものではなく伝えるもの

山﨑洋実HAPPY MOMMY プロデューサー&コーチ


こんにちは。ひろっしゅコーチこと山﨑洋実です。
ささいなことで子供を感情的に怒り過ぎてしまう。怒りに火がつくと、なかなか冷静になれない。子供を怒った後に自己嫌悪に陥り、自分を責めてしまう。子育て中のママたちから、そんな悩みを伺うことがよくあります。

怒りの裏側にある別の感情

子育ては感情と感情のぶつかり合いです。私たちの中には日々いろいろな感情が生まれますが、その中でも「怒り」の感情は大きなエネルギーを持っているもの。怒りは瞬間的に湧き起こり、一気に膨れ上がるので、自分ではなかなかコントロールできなくなってしまうのです。「怒り」の感情に振り回されるのは、とても疲れるものです。「怒り」の感情は悪いものではないので、排除する必要はありません。でも、その「怒り」の裏側にあるものは何なのか、意識してみてください。

以前にもこの連載でお伝えしましたが、「怒り」は第二次感情です。その裏側には必ず、別の感情が隠れています。例えば、期待。例えば、不安。悲しみや心配、悔しさや焦り……。自分の怒りの裏に隠れている感情を丁寧に扱う練習をしてみましょう。「せっかく掃除したのに、すぐに汚れてしまって悲しかった」「頑張って料理をしたのに食べてくれなくて残念だった」自分の本当の気持ちはどこにありますか? 怒りの裏側にある感情に気付いたら、後から素直に伝え直せばいいのです。

私が高校生のころのことです。夜、家族が寝静まった後に友人から呼び出されて、外出したことがありました。とはいえ時刻はまだ九時を回ったところ。自宅の近くでしたし用事が済んだらすぐに帰るつもりでしたから、私は家族の誰にも声を掛けずにこっそりと家を出ました。ところが、ほんの十五分ほどで帰宅すると、消えていたはずの玄関の明かりがついているのです。私は「何時だと思ってるの!」と母に怒られるのを覚悟して玄関のドアを開けました。思春期真っただ中、もしそんなふうに怒りをぶつけられていたら、私は「うるさいな! 関係ないでしょ!」などと反発していたと思います。でも、起きて私の帰りを待っていた母は「よかった、帰ってきて。お母さん心配したよ」と一言。だから私も素直に「心配掛けてごめんね」と言うことができました。

怒りはゴムボールのようなものです。相手にぶつける力が大きければ大きいほど、大きく跳ね返って自分に戻ってきます。気持ちを伝えたいなら、力任せに投げつけずそっと手渡すことです。怒りの手前にある感情を丁寧に伝えることができたら、そこにこもった愛情も伝わります。子供を怒ってばかりだという皆さんも、「子供を追い込んでギャフンと言わせたい」とか「子どもを泣かせてストレス発散したい」なんていう理由で怒っているわけではないはずです。愛情があるから怒っているのに、怒りだけをぶつけてしまって肝心の愛情は相手に伝わらない。それではもったいないと思いませんか?

怒りの感情をぶつけないコツ

怒りの感情から、自分を切り離してみる練習をしましょう。一説には、怒りの感情は六秒ほどしか持続しないともいわれています。瞬間的に怒りが湧いてきたら、それをそのまま相手にぶつけてしまう前にまずは六秒、数えてみましょう。心の中でお気に入りの歌を歌ったり、くだらないフレーズを唱えてみたり、自分だけの「六秒の呪文」を用意しておくのもいいですね。相手が目の前にいると怒りをこらえられないというときは、その場から離れるのもいいでしょう。窓の外を見て深呼吸をする、洗面所で手を洗うなど、気持ちを鎮める動作をするのも効果的。これは子供を相手にしたときに限らず、夫婦げんかになりそうなときにも有効ですし、また仕事やママ友との付き合いの中でも使えるテクニックです。

感情はぶつけるものではなく、伝えるもの。怒りのパワーは大きいのでついそこにばかり目を向けがちですが、日々の暮らしの中で楽しかったこと、うれしかったこと、感動したこと、悲しかったことなどいろいろな感情を味わってみてください。そしてその感情を伝えて共有できる相手を見つけてください。

自分が満たされていて気持ちに余裕があるときは、細かいことでイライラしなくて済むものです。自分がどんなときに「楽しい」「うれしい」と感じるのかを知っておくことはとても大切です。いつも自分を満たしておくように心掛けていると、だんだんと怒りに振り回されることも少なくなってきますよ。

さんさい


【山﨑洋実(やまさきひろみ)】
HAPPY MOMMY プロデューサー&コーチ。「Fine-Coaching」主宰。結婚後にコーチングを体系的に学び、自身の妊娠出産を経て、「ママのイキイキ応援プログラム(通称:ママイキ)」をスタート。ママ向けコーチングの第一人者として「ひろっしゅコーチ」の愛称で親しまれ、全国の悩めるママたちにアドバイスを送っている。