第11回:子供の本質は変えられない!
山﨑洋実

こんにちは。ひろっしゅコーチこと山﨑洋実です。
あなたは好きなものを先に食べるタイプですか、最後に残しておくタイプですか? お風呂に入ったら、体のどの部位から洗い始めますか? 靴は左右どちらの足から履くでしょう。
無意識に行っている日常の動作の中にも、必ず自分の「パターン」があります。身に付いたパターンは頑固なもので、変えなさいと言われてもなかなかすんなりとは変わりません。
行動だけではなく、性格にもパターンがあります。普段から積極的な人もいれば消極的な人もいますよね。仲間とワイワイするのが好きな人、一人でのんびり過ごすのが好きな人。几帳面な人、大ざっぱな人。どちらが良いとか悪いとかではなく、生まれ持った本質は変えられないのです。
性格のパターンを押し付けないで
でも私たちは、子供のパターンを変えさせて自分の「理想通りの子」にしようとします。一人で過ごすのが好きな子に「もっと友達と遊べばいいのに」、のんびりマイペースな子に「もっとテキパキとやりなさい」などと、自分の価値観を押し付けてしまいがち。親と子のパターンが違えば違うほど、この傾向は強くなります。
私の一人息子は、真面目で超が付くほどの慎重派、大勢でワイワイにぎやかに過ごすより、一人でのんびりする方が落ち着くようです。自分で決めたことを最後までやり通す意志の強さがありますが、臨機応変に融通を利かせるのは苦手なタイプ。それに対して私は子供のころから大勢の友達に囲まれてにぎやかに過ごすのが好き。楽天的でプラス思考、興味を持ったことはどんどん挑戦するタイプで、思い付きで予定を変更するのは日常茶飯事です。
息子が小学六年生のころのことです。アニメ番組の中で、主人公が「人生たった一度きり、後先考えずにやりたいことをやろうぜ!」と言いました。私は「その通り! この主人公、いいこと言うじゃない!」と感動したのですが、息子は違いました。「ねえ、お母さん。後先を考えないでやりたいことをやったら周りが迷惑するよね。このアニメ、良くないよね」と言うのです。
つまり私と息子はまったく正反対のパターンの持ち主だということなんですね。同じアニメの同じせりふを聞いても、感じることはこれだけ違います。ポジティブの塊のようなこの私が専属コーチとしてエネルギーを注いで育てた一人息子ですが、だからといって私のコピーのようには育たないのです。
私はこのとき、息子にこう言いました。「あなたの言っていることも分かる。でもね、人生には後先考えずにやった方がうまくいくこともあるって覚えておいて」。将来いつか、息子に本当にやりたいことが見つかったときに、もしかしたら私の言葉を思い出してくれるかもしれません。誰かに迷惑を掛けることを恐れて諦めてしまうのか、思い切って飛び込んでみるのか。もちろんどちらの道を選ぶのかは息子次第です。私たち親にできるのは選択の幅を広げてあげることだけなのです。
親子のパターンは違うもの
親は、子供が自分とは違う価値観を持っていたり違うパターンを選んだりすると理解に苦しみ、なんとかして自分のパターンに当てはめようとしてしまいがち。でも選択の幅を広げるという意味では、親と子は似ていない方がいいのです。親子のパターンが同じだと似たような選択肢しか与えてあげられませんが、違うからこそ学びがあり広がりがあるのだと思います。
私たち人間は、それぞれ自分のパターンを持っています。もちろんあなたにも、意識している・していないに関わらず、パターンがあるのです。まずは自分がどんなパターンを持っているか、考えてみてください。そして自分のパターンと子供のパターンは違うということも知ってくださいね。長年染み付いた自分のパターンは頑固なものです。時々はあえて自分のパターンとは違う選択肢を選んでみるといいですね。
すぐに「早く、早く!」と子供を急き立ててしまうせっかちなパターンの人は、時には「子供には子供のリズムがあるんだから」と一呼吸おいてみる。「手を洗いなさい、宿題をしなさい」と先回りの指示出しがパターンの人は、「今日は子供が気付くまで待ってみよう」と口を出さずに見守ってみる。そんなふうに自分のパターンを変えてみると、気が付くこともたくさんありますよ!
【山﨑洋実(やまさきひろみ)】
HAPPY MOMMY プロデューサー&コーチ。「Fine-Coaching」主宰。結婚後にコーチングを体系的に学び、自身の妊娠出産を経て、「ママのイキイキ応援プログラム(通称:ママイキ)」をスタート。ママ向けコーチングの第一人者として「ひろっしゅコーチ」の愛称で親しまれ、全国の悩めるママたちにアドバイスを送っている。