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第17回:思春期の母は「待つ」のが仕事です

山﨑洋実HAPPY MOMMY プロデューサー&コーチ


こんにちは。ひろっしゅコーチこと山﨑洋実です。

幼いころはべったりと濃厚だった親子関係も、子供の成長とともに変化していくものです。うっとうしいくらいに「お母さん、お母さん」と後を追い掛けてきたかわいいわが子が、思春期を迎えるとろくに話もしなくなったり、憎まれ口をたたいたり。わが子の急な変化に戸惑ってしまうお母さんたちの悩みをよく伺います。

私の息子も高校生、まさに思春期真っただ中です。幼いころからおとなしく穏やかでいわゆる「育てやすい良い子」だった息子も、思春期に突入し、時に自分でも抑えられない感情の渦に巻き込まれることがあるようです。訳もなくイライラしたかと思えば、自分でできるような小さなことを「お母さんやって」と甘えてきたり、ジェットコースターのようにコロコロと気分も態度も変わります。親としては腹が立ったり不安になったりするものですが、これは成長の過程で誰もが通る道。親から離れて自立していくための第一歩なのです。

思春期はつかず離れずの関係を

ある日、何げなく息子に「今日は宿題あるの?」と話し掛けたら「数学と英語があるよ」と返事がありました。私としては「宿題やりなさい!」などと命令する意図はなく軽い世間話のつもりでしたし、息子も穏やかに答えてくれて、その日の会話は終わりました。また別のある日、同じように「宿題は?」と尋ねると息子からは「うるさいな、管理しないでよ!」と怒った調子で返事が。どうやらその日は虫の居所が悪かったようです。

こんなとき、私たちはつい、子供の不機嫌を真正面から受け止めてしまいがちです。ムカッときて「何でそんな言い方するのよ!」などと言い返したりしてしまいますが、相手は「思春期」です。私たち親ももちろん、子供本人ですら、どこに地雷が埋まっているのか分からないものなのです。月曜日には気にならなかった「宿題は?」の一言が、水曜日にはどうしても許せない。それが「思春期」というものなのですね。

だからこの時期は、お互いにつかず離れず、が親子関係をスムーズにするコツ。特に私たち母親はわが子を目の前にするとついあれこれと手も口も出したくなりますが、そこはグッと我慢です。「必要ならいつでも手を貸すよ」というメッセージは伝えた上で、あとはひたすら「待つ」のが思春期の子を持つ母の大切な仕事だと私は思います。往年の人気アニメではないですが、「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」これが思春期母の合い言葉です。

そしてもう一つ、これまた国民的アニメから拝借ですが、心に「翻訳コンニャク」を持っておくことも思春期母へのアドバイス。翻訳コンニャクとは、違う言語を話す相手の言葉を翻訳してお互いに意思疎通できるようにしてくれる、おなじみの秘密道具ですね。ああ言えばこうとばかりに反抗してきたり、時には「クソばばあ」なんて暴言を吐いたりと、びっくりするような乱暴な言動をするのも思春期の子供にはよくあることです。そんなとき、心の中で翻訳コンニャクを使ってみると「うるせぇ、クソばああ!」はこんなふうに聞こえます。「お母さん、今僕は思春期でイライラしているんだ。お願いだから、少しそっとしておいて!」

「呼ばれて飛び出て~」の合い言葉と、心の中の「翻訳コンニャク」。この二つさえあれば、売り言葉に買い言葉で親子げんかが勃発する頻度も減ることでしょう。ささいな言葉尻に反応するのではなく、子供の気持ちを丁寧に扱い、言葉の裏側に隠れている本当の気持ちは何なのかを察すること。それさえできていれば大丈夫。あとはもう、「お母さん、ちょっと来て」と呼ばれるまで放っておけばいいのです。

お母さんも心の余裕を持ちましょう

出産年齢が高齢化した現代、子供の思春期と同時にお母さんも更年期を迎えるという親子も少なくありません。思春期も更年期も、心身共に不安定になるという意味では同じようなもの。私は「ホルモンとホルモンの戦い」などと言っていますが、イライラしたり理不尽なことで腹を立てたり感情が爆発したりするのも全て、ホルモンの仕業。思春期を迎えた子供たちも、そして更年期に差し掛かる母たちも、ホルモンバランスの急激な変化に戸惑っているのですね。

だからこそ、お母さんたちは子育てに自分のエネルギーの全てを注ぎ込むのではなく、自分のやりたいことや好きなことにエネルギーを分散してほしいと私は思っています。自分を満たし幸せにしておく方法をいくつも持っていると、思春期の子供の不機嫌や暴言とも正面から戦わずにうまくかわす心の余裕ができてきます。お母さんはお母さんの人生を楽しんで。思春期の子供のことは、横目でちらりと見守るくらいでちょうどいいのかもしれません。

さんさい


【山﨑洋実(やまさきひろみ)】
HAPPY MOMMY プロデューサー&コーチ。「Fine-Coaching」主宰。結婚後にコーチングを体系的に学び、自身の妊娠出産を経て、「ママのイキイキ応援プログラム(通称:ママイキ)」をスタート。ママ向けコーチングの第一人者として「ひろっしゅコーチ」の愛称で親しまれ、全国の悩めるママたちにアドバイスを送っている。