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〝人と馬が共に暮らす社会〟へ

西崎 純郎岡山乗馬倶楽部代表取締役


ホースセラピーに取り組み
国体17回目の挑戦で初優勝

『すきっと』第30号に登場した、岡山乗馬倶楽部代表取締役の西崎純郎さんが10月4日、静岡県の御殿場市馬術・スポーツセンターで開催された第73回「国民体育大会馬術競技」の成年男子・大障害飛越に出場。17回目の挑戦で、悲願の初優勝を果たした。馬術の現役選手として競技に打ち込む傍ら、引退した競走馬の〝セカンドキャリア〟づくりに努める中で、馬との触れ合いを通じて悩みや病を抱える人に寄り添う「ホースセラピー」などに取り組んでいる。そんな西崎さんの歩みを紹介する。

  初めて馬にまたがったのは中学時代。反抗期で不登校になったとき、両親が連れていってくれたのが乗馬倶楽部だった。
「馬の体温は、赤ちゃんがお母さんのお腹の中に抱かれているときの温度に近い。馬に触れたり、またがったりするうちに、荒んでいた心が癒やされて、馬が大好きになった」と当時を振り返る。
 その後、西崎さんは馬術にのめり込み、高校生のとき国体に初出場した。卒業後は、地元の乗馬倶楽部で勤務。9年前、岡山県吉備中央町に「岡山乗馬倶楽部」を開設した。
 そして2年前、引退後の競走馬を再調教し、”セカンドキャリア”の構築を目指すNPO法人「吉備高原サラブリトレーニング」を設立した。
「日本で生まれる馬で、子孫を残せるのは数%。最期を看取ってもらえる馬も、ごくわずかしかいない。気性が荒い競走馬たちを再調教し、一頭でも多く新たな舞台で活躍してもらいたいと思った」
 さらに、馬との触れ合いを通じて悩みや病を抱える人への心理療法を行う「ホースセラピー」や、障害者福祉への馬の活用など、さまざまな取り組みを進めている。
 西崎さんは「ハンディキャップのある人や、悩んでいる人に、馬を通じて支援させていただくことが、私にできる”おたすけ”だと考えている」と話す。
 一方、日本馬術連盟のA級ライダーの資格を取得するなど、競技者としても現役。乗馬倶楽部経営の傍ら、年間約20大会に出場している。これまで「岡山県トップアスリート賞」をはじめ、数々の受賞歴を持つ。

親里で信仰見つめ

 同大会は、各県の予選を勝ち抜いた代表選手が集う、国内最高峰の馬術競技大会。西崎さんは、過去16回挑戦してきたが、あと一歩のところで優勝を逃してきた。
 今年1月、親里で開催された「後継者講習会」を受講。さまざまな立場の教友たちと語り合いながら、自分自身の信仰や人生などについて振り返る中で、「自らの生きる道に確信が持てるようになった」と振り返る。
 愛馬「エクスキャリバー」と臨んだ今大会。「準備は万全で自信があった」と西崎さん。16組の人馬が出場した大障害飛越競技で、全11障害をノーミスで駆け抜けた。昨年の大会で優勝した広田龍馬選手もノーミスでクリアし、勝負はジャンプオフ(優勝決定戦)へ。
 緊張感が漂うなか、先に出馬した広田選手がミスを重ねて6点の減点。
 一方の西崎さんは、最終障害のバーを落としたものの、減点を最小限に抑え、17回目の挑戦にして悲願の初優勝に輝いた。
 西崎さんは「私が目指す”人と馬が共に暮らせる社会”を実現するために、新たな可能性をさまざまな場面で提案し、社会へ広めていくことが、私の人生を変えてくれた馬への恩返しだと思っている。選手としても一層精進しながら、馬の魅力を発信していきたい」と語った。

天理時報2018年10月28日号掲載


【にしざき・すみお】1982年、東京都生まれ。岡山県馬術連盟理事。NPO法人「吉備高原サラブリトレーニング」理事長。日本馬術連盟A級ライダー。常磐分教会ようぼく。