First Episode 癖、性分を取りなされや
名古屋大教会長夫人 森井葉子先生
皆さんは、自分の性格を変えたいと思ったことはありませんか?
大学時代、よく当たると評判の占い館に、友人と行ったことがありました。
そこで、私を占ってくれた女性の占師は、大きなそろばんをはじきながら、私の顔をじっと見て、「あなたは、性格を変えなければ結婚できません」と、語り始めたのです。
その他にも、いろんなアドバイスを受けましたが、何一つ良いことは言ってもらえず、終わってしまいました。
すっきりしない気分だったものの、今日は占師の機嫌が悪かったのだろうと、さほど気にも留めずに占い館を後にしました。
ところが、時間がたつにつれ、じわじわと占師の言葉が気になりだし、いきなり「性格を変えないと結婚できない」と言われたことへの、ちょっとした不服と、占師の言う通り、「私はこのままではいけない」という二つの思いが心の中で交差していました。
それはなぜかと言うと、8人きょうだいの末っ子として生まれ、幼い頃から甘えん坊だった私は、友達と遊んだり、楽しく過ごすことは好きでしたが、人前に出るのが苦手で、何をするにも自信がなく、いつも誰かの陰に隠れて、人に頼っていることが多かったのです。
私自身、「さすがに、このままでは駄目だ」と分かっていながらも、特に変わる努力はしていなかったので、大教会の女子青年の委員長になった時に、ある人から「前の委員長さんは魅力があり、楽しかったから人も集まったけれど、これからは心配…」と、キツイ一言を言われたこともありました。
きっといろんな人が、私の将来を心配してくださっていたと思います。
そんな私が、ご縁を頂き、教会に嫁いで今年で31年。会長である主人や両親、教会の皆さまの真実と温かい心のおかげで、あの頃の自分からは少しは変わることができ、心にも力がついてきて、前向きなありがたい毎日を送らせていただいています。
そしてもう一つ、心の向きを変えていただいた大切な要因になるのは、やはり、お道を通っていたからこそ、繰り返し聞かせていただくことができた、教祖の御教えのおかげです。
もしも、お道から離れて生活をしていたら、いろんなことの多くを、自分の常識だけで判断していたかもしれません。
ですが、教祖の御教えを繰り返し聞かせていただいたり、先輩のお話を聞かせていただける環境にいたからこそ、いろんなことに気が付き、自分の癖、性分を変えていく力を自然に頂けたんだと思います。
現在も、あの頃のままの私だったとしたら、自らの性格に悩みながら、喜べない日が多かったに違いありません。
思えば思うほど、「お道でよかった。教会に嫁がせていただいてよかった」と、喜びと感謝の心が湧いてきます。
教祖をいつも心に
教祖は「やさしい心になりなされや。人を救けなされや。癖、性分を取りなされや。」(『稿本天理教教祖伝逸話篇』 一二三「人がめどか」208頁)と誰にでも分かる易しい言葉で、陽気ぐらしに大切な心遣いをお教えくださいました。
しかし、実践することはそう簡単ではありません。
皆さんの中には、若い頃の私のように、変わりたくても変われないと、悩んでおられる方がいるのではないでしょうか。
幼い頃から母がよく、「私たちは神さんやないから、でけんでも仕方ないで。大切なことは、教祖だったらどうされるか。教祖だったら何とおっしゃるか。どうしたら教祖に喜んでいただけるか。と思いながら通らせてもらうことやで」そして、「そう思っていたら、どんなことでもええようになってくるよ」と、いつも優しく聞かせてくれました。
思案の中心は、いつも教祖であった母の言葉に、私は何度たすけてもらったか分かりません。
これからの長い人生、教祖をいつも心から離さずに通っていたら、一人ひとりの癖、性分もいつしか、その人ならではの、すてきな個性に変わるかもしれませんね。