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自分も相手も大切にする話し方

金山 元春高知大学准教授
本部直属淀分教会淀高知布教所長


人間関係がうまくいかない話し方として、次の二つの場合があります。

一つは、自分を出し過ぎる場合です。「こうであるべき」「どっちが正しいのか、はっきりさせたい」などと考えていると、強い口調で攻めるような言い方になります。
これでは何も伝わらず、自分も相手も嫌な気持ちのまま、不満を募らせることになります。
その結果、イライラが増し、自分の気持ちを一層押し通そうとする悪循環に陥ります。

もう一つは、自分を抑え過ぎる場合です。「こんなことを言えば嫌われるのでは」「私なんかが発言しても」などの考えが浮かんできて、自分の気持ちを言えなかったり、言葉を濁してしまったりします。

自分を出し過ぎるのはまずいけれど、自分を抑えるのは謙虚でいいだろうと思う人もいるかもしれません。
確かに、それが相手の気持ちを慮って「言えるけれど言わない」のであれば、いいのでしょうが、「言いたいのに言えない」というのは、次のような悪循環を生むことがあります。

言いたいことがうまく言えないと、ストレスが溜まります。
溜まったストレスは、はけ口を求めます。その結果、相手のことを陰で悪く言ったり、愚痴をこぼしたりすることもあるでしょう。
それですっきりするのかというと、かえって嫌な気持ちになり、「私って、ダメな人間だな」と自己嫌悪に陥ります。
そうして心が塞ぎ込んでくると、「どうせ言っても分かってもらえない」などと周りを恨みつつ、ますます自分を抑え込んでしまうのです。

相手を大切にしないで自分を押し通そうとする話し方は、確かに変えたほうがいいですが、相手を大切にすることは自分を蔑ろにすることではありません。
この悪循環の例のように、自分を大切にしないと、結局は相手を大切にすることもできないのです。
ですから、自分も相手も大切にする話し方を身に付けましょう。

たとえば、急ぎの仕事を抱えているとき、職場の懇親会の幹事を頼まれたとします。
「こっちが忙しいのは分かっているでしょう!」では、自分を強く出し過ぎです。
また、本当はそんな余裕はないのに「……うん、分かった」と引き受けて、陰で相手を恨むようであれば、いずれ不満が爆発して大げんかにもなりかねません。
これは自分を無理に抑え込んだ結果です。

このような場合は、次のような、自分も相手も大切にする話し方をしてみましょう。
①「今週中に仕上げないといけない仕事があるから」
②「今回の幹事は別の人にお願いできると助かるな」
③「皆も忙しいと思うけれど、また誰か代わってほしいときがあれば、そのときは私が代わるから」

この例のように、

①状況を客観的に説明する
②自分の気持ちを伝える
③相手への配慮を添える

の3点を含めて話すことで、自分も相手も大切にする話し方になります。

天理時報2018年11月18日号掲載