天理市舞台の映画公開へ-「二階堂家物語」-

管内施設・教友が撮影に協力
1・25 全国ロードショー
天理市を舞台とする映画「二階堂家物語」が、1月25日から全国各地の劇場で公開される。名家の跡継ぎ問題を通じて、家族の愛と葛藤を描いたこの作品は、映画作家の河瀨直美さんがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、イラン出身のアイダ・パナハンデ監督がメガホンを取った。一昨年10月には市内各所で撮影が行われ、天理大学雅楽部が出演したほか、俳優・撮影スタッフの受け入れに詰所などが協力した。
この作品は、「なら国際映画祭」で第1位に輝いた監督が、奈良を舞台に映画を制作するプロジェクト「NARAtive」の一環として撮影したもの。
奈良市出身の映画作家で、本紙でエッセー「未来への祈り」を連載した河瀨直美さんが、エグゼクティブ・プロデューサーを務める。
5回目となる同プロジェクトでは、天理市が撮影地として名乗りを上げた。
2017年3月、監督と脚本家が天理を訪れ、下見となるシナリオハンティングを実施。
このとき、パナハンデ監督は「天理の人、天理教の人の心を感じたい」として、本部神殿で参拝。さらに、天理大雅楽部の演奏を聴いて感動し、「この音を作品に取り入れたい」と希望したという。
10月にはキャストの加藤雅也さん、石橋静河さん、町田啓太さん、田中要次さんらが現地入りし、市内各所で撮影がスタートした。
〝懐の深さ〟感じた
天理大雅楽部は、ある登場人物の思いが揺れるシーンに登場。俳優を交えて演奏を披露した。
部長の梅田真史さん(3年)は「映画の中で演奏させていただき光栄。伝統ある部の魅力が少しでも伝われば」と話す。
また、撮影本番の前後を合わせて3カ月間ほど、名東・梅谷の両詰所がスタッフの受け入れに当たった。俳優のメーク室などが用意されたほか、教友有志ら延べ70人が連日、手作りの食事を提供した。
映画のアソシエイト・プロデューサーとして、各所との調整に当たったリントン貴絵ルースさん(35歳)は「天理教のハッピを着た外国人を見て、パナハンデ監督は驚いていた。
天理にはさまざまな〝懐の深さ〟があると思う。詰所では、まるでわが家のようにスタッフ一同が団欒を味わわせてもらった。
クランクアップとなった雅楽部のシーンでは、監督が演奏に浸り、いつまでもカメラを止めなかったことが印象に残っている」とコメントした。
同作品は1月25日、全国各地で公開される。詳しくは公式ホームページを参照。
公式ホームページはこちら
並河健・天理市長(談話)
天理の魅力を届ける映画
「なら国際映画祭」の映画制作プロジェクトNARAtiveとして誕生した映画「二階堂家物語」が、ついに劇場公開を迎えます。
天理市を舞台にした「二階堂家物語」は、地域の人々との協働により一緒に作り上げられた作品です。
天理大学雅楽部の練習場をロケ地にご提供いただいたり、宿泊施設として詰所をご提供いただいたりと、本当にありがとうございました。
また、ご寄付を賜った方、エキストラに出演していただいた方、食事を作っていただいた方など、多くの方々に支えられて完成いたしました。
イラン出身の女性監督アイダ・パナハンデ氏により、家族のあり方を表現した「二階堂家物語」を通して、自然と人が豊かで美しい天理の魅力を、多くの方々にお届けできれば幸いです。
天理時報天理時報1月20日号 掲載