JOYOUSLIFE(ジョイアスライフ) - あなたが陽気に 世界を陽気に

JOYOUSLIFE(ジョイアスライフ)は「陽気ぐらし」の手がかりとなる記事を厳選した、キュレーションサイトです。

「一手一つ」スローガンに 7年ぶり2回目の準優勝-天理大ラグビー部-

大学選手権決勝 高らかに学歌

ラグビーワールドカップの初めての日本開催を今秋に控え、ラグビー熱が高まりを見せるなか、平成最後の大学日本一を決める第55回「全国大学ラグビーフットボール選手権大会」の決勝が12日、東京・秩父宮ラグビー場で行われた。
創部初の日本一を目指す天理大学ラグビー部は、伝統校の明治大学と対戦。2万人を超す大観衆が見守るなか、試合前には心一つに「学歌」である『天理教青年会々歌』を高らかに斉唱した。
天理大は今季「関西大学ラグビーAリーグ」を全勝優勝する圧倒的強さで大学選手権へ進出。準決勝では、大会10連覇を目指す王者・帝京大学を破って決勝の大舞台へ。チームスローガンである「一手一つ」の天理ラグビーで熱戦を繰り広げたが、17‐22の僅差で明治大に敗れ、7年ぶり2回目の準優勝となった。

11日、決戦前夜の都内ホテル。天理大ラグビー部員が一室に集まるなか、明日の決勝戦を前に出場選手へジャージーを渡す〝儀式〟が行われた。「1番加藤」「2番島根」……。この1年、共に戦ってきた選手たちの名前を一人ひとり読み上げ、力強く握手を交わす小松節夫監督(55歳)。

小松監督の現役時代のポジションはCTB。天理高校卒業後、ラグビーの本場・フランスの強豪クラブで2年間プレー。大学、社会人を経て1993年、コーチとして天理大へ。同部が「関西大学ラグビーCリーグ(3部)」に低迷していた時代、「勝つ喜びを知らない。かわいそうだ」と、まずはラグビーの楽しさを伝えることから始めた。

3年目に監督就任。2001年にAリーグ復帰を果たすと、10年には35年ぶりの優勝をもたらした。さらに翌年、初めて大学選手権決勝へ進み、帝京大を相手に、優勝まであと一歩と迫った。あれから7年、再び日本一への挑戦権を得た。

ジャージーを全員に渡し終えた指揮官は、「7年前(の帝京大戦)は、どうやって僅差に持ち込むかと考えていた。でも今回は、堂々と勝負できる。どんな中も修正力を持ち続け、最後まで頑張れるのが今年のチーム。明日は、すべての局面で実力を出し、最後まで勝負にこだわり、必ず優勝するという強い思いで戦ってほしい。先輩たちの悲願を叶えるためにも、しっかり力を出しきろう」と静かに語りかけた。

選手たちは、輪をつくって最後のブリーフィング(意識合わせ)を行った。

王者・帝京大に快勝

昨年9月末、今季の「関西大学ラグビーAリーグ」が開幕。初戦の相手・関西大学を116‐7の大差で退けた天理大は、その後も1試合平均68得点という圧倒的な攻撃力を見せ、7戦全勝で3年連続10回目のリーグ制覇。関西王者として、大学選手権へ駒を進めた。

昨年12月22日、初戦となった準々決勝では大東文化大学と対戦。関東随一の強力フォワードを擁する同大に対し、序盤に2トライを挙げて流れをつかみ、30‐17で危なげなく勝利した。

年が明け、2日の準決勝の相手は、10連覇を目指す絶対王者・帝京大。天理大は練習試合を含め一度も勝ったことがない。日本一を目指すうえで、越えなければならない〝高い壁〟に挑んだ。

開始直後から積極的にアタックを仕掛ける天理大。序盤、快足ウイングの久保直人選手(4年)が右ライン沿いを駆け抜けて先制トライを決める。

フォワード陣の平均体重差は約10キロ、チームの平均身長差は約5センチと帝京大とは明らかな体格差がある。天理大の新たな武器は、低く突き上げるように一体となって押すスクラムだ。

19分、敵陣ゴール前15メートルから鍛え抜いたスクラムで押し込み、相手フォワードを崩すと、認定トライで12‐0とリードを広げる。
後半も鉄壁のディフェンスで帝京大のペナルティーを誘い、さらにスクラムで圧倒。19分にはサインプレーを仕掛け、最後はファウルア・マキシ選手(同)がダメ押しのトライ。結果、29‐7と、帝京大をわずかトライ1本に抑えて快勝した。

大学ラグビー史に残る天理大の勝利に、当日のツイッターの「トレンド」ワードで「天理」が1位にランクされるなど、ラグビーファンの話題の的となった。

〝東の聖地〟で激闘

12日の決勝戦。東京で初雪が観測されたこの日、日本ラグビーの〝東の聖地〟と呼ばれる秩父宮ラグビー場には、開場の3時間以上も前から長蛇の列ができた。

スタジアムは2万人を超える大観衆で埋まった。試合開始に先立ち、両校メンバーの名前がコールされ、ベンチコートに身を包んだ選手たちがフィールド内に入ってくる。

整列した天理大のメンバー23人は、昨年「学歌」に制定された『天理教青年会々歌』を高らかに斉唱。天理大のファンにも歌詞カードが配られ、共に歌声を響かせた。

この日、教内関係者も数多く会場へ足を運び、青年会長である中山大亮様のお姿も。

天理大の創部初の優勝か、明治大の22年ぶりの優勝か――。〝ラグビーイヤー〟の幕明けを飾る注目の一戦は、天理大のキックオフで始まった。

先制したのは天理大。スクラムで明治大のペナルティーを誘うと、ゴール前のラインアウトから島根一磨キャプテン(同)が相手のディフェンスを乗り越えてトライ。さらにリードを広げたい天理大だったが、ショートパスを巧みにつないで攻める相手に、7分、22分と立て続けにトライを奪われ、逆転される。

後半、明治大の執拗なダブルタックルによって敵陣深くに入れない天理大は、キックなどを使って逆転への道筋を探す。29分、スタジアムにこだまする「メイジ」コールのなか、島根キャプテンが相手のタックルを受けながら渾身のトライを決め、10‐22。

反撃の狼煙を上げた天理大は35分、敵陣でパスを受けた島根キャプテンが再びゴール前まで疾走すると、最後はシオサイア・フィフィタ選手(2年)がゴールポスト下にトライ。17‐22と、同点まであと1トライ差に迫った。

残り1分、割れんばかりの大歓声のなか、天理大はゴールへ何度もアタックを仕掛けたが、最後はタックルを受けて落球し、ノーサイド(試合終了)。最終スコアは17‐22で、7年ぶり2回目の準優勝となった。

歓喜する明治大の選手とは対照的に、フィールドに座り込み、空を仰いで悔し涙を流す天理のフィフティーン。獅子奮迅の活躍でチームを牽引した島根選手は、最後までキャプテンらしい礼節ある振る舞いに徹した。

記者会見で、小松監督は「明治大学の集中力あるディフェンス、アタックは素晴らしく、こちらはファイナルならではのプレッシャーを感じ、決勝用のプレーができなかった。明治大は昨年、準優勝で非常に悔しい思いをしたので、そこの差が出たのかもしれない。選手たちは、最後まで本当によく戦ってくれた。あらためて、日本一は簡単ではないと感じたが、この敗戦を忘れずに努力を続ければ、いつか日本一に届くと思う。この大きな経験と悔しさを下級生たちが受け継ぎ、再び日本一を目指す」と淡々と語った。

島根キャプテンは「今日の試合に向けて最高の準備をして臨んだが、最初に(相手の攻撃を)受けてしまい、明治大の強いディフェンスに対して攻めきれなかった。しかし決勝の舞台に立てたことは、天理大として、とてもいい経験になった。下級生が多く残るので、彼らに夢を託し、日本一を目指してほしい」と話した。

メンバーは翌日、本部神殿でおつとめを勤めた後、本部玄関へ。大亮様に、準優勝の報告を申し上げた。

現役時代、ラグビー強国ニュージーランドで「空飛ぶウイング」と呼ばれ、大活躍。日本人で初めて国際統括団体「ワールドラグビー(WR)」の殿堂入りを果たした坂田好弘・関西ラグビーフットボール協会会長は、今回の決勝戦について次のようにコメントした。
「試合終了後、小松監督に『ありがとう』とお礼を言った。関西の代表として、関東勢に挑み、本当に素晴らしいラグビーを見せてくれた。選手一人ひとりにも『ありがとう』のひと言を贈りたい。天理大学が強くなれば、関西のほかの大学も目標ができて強くなる。そして近いうちに、天理大学が関東という〝高い山〟を必ず崩してくれると大いに期待している」

天理時報天理時報1月27日号 掲載