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イラン革命40年 宗教との共存の時代へ

島田 勝巳天理大学宗教学科教授


1979年に起こったイラン革命から、今年で40年になる。当時のイスラム教シーア派の最高指導者ホメイニー師を奉じる革命派が、親米派のパフレヴィー王朝を倒し、イラン=イスラム共和国を成立させた革命である。

イラン革命後、米国とイランは長期にわたる敵対関係に入った。昨年、トランプ政権が欧米6カ国によるイランとの核合意から離脱したことで、両国の関係はさらに悪化している。

ところで、イラン革命は、現代世界における宗教の動向を探るうえでも、一つの重要な指標とされてきた。
20世紀半ばまでは、近代化によって宗教は次第に衰退していくものと考えられていた。宗教社会学では、これを「世俗化論」と呼ぶ。実際に、西欧諸国を中心に、1960年代までには教会の礼拝への出席者数は減少し、社会における宗教の影響力の減退は明らかだった。

だが、20世紀後半からは、逆に「宗教回帰」の動きが顕著になる。その代表例が、イラン革命におけるイスラム主義の復興であった。これは、米国におけるプロテスタント福音派の躍進や、インドにおけるヒンドゥー・ナショナリズムの台頭などとともに、1980年代以降のグローバルな「宗教的原理主義(ファンダメンタリズム)」の動向の指標と見なされてきたのだ。

もちろん、こうした「宗教復興」現象は、その主張も文脈もさまざまだが、特徴的なのは宗教の「政治化」という性格である。つまり、既存の政治体制を近代的な世俗主義として批判し、宗教的・伝統的価値観に基づく何らかの政治的要求を実現しようとする点で、共通しているのである。

グローバルな規模でのこうした宗教の政治化の流れは、冷戦体制崩壊後は民族主義的な主張と結びつき、さらに活発化した。
一方、2001年の米国同時多発テロは、イスラムに対する西洋諸国の反感(イスラモフォビア)を醸成し、さらに今日では、イスラムは欧州における移民・難民問題と不可分な要素になっている。

このように、現代世界は「宗教との共存」、特に「イスラムとの共存」という大きな課題を抱えている。その意味で、私たちはいま、「世俗化」ならぬ「世俗化後(ポスト・セキュラー)」の時代を生きているともいわれる。

40年前に起こったイラン革命は、現代世界における宗教の位置づけを占ううえでも、一つの画期を成す出来事だったのである。

天理時報2019年3月10日号掲載