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天・理・見・ど・こ・ろ・探・訪 vol.2

在原神社

『伊勢物語』の「筒井筒」ゆかりの地 在原神社(天理市櫟本町)

 冬晴れのある日、在原神社を訪ねました。ここには平安時代の歌人・在原業平と、その父・阿保親王が祀られています。
 業平は「昔、男ありけり」の書き出しで有名な『伊勢物語』の主人公とされる人物。容姿端麗で和歌の名手、とくればモテないはずはなく、多くの女性と浮名を流しました。
 天理駅前から国道169号を北へ歩くこと約30分、天理インターチェンジの交差点を西へ折れるとすぐに、小さな公園のような神社があります。ひっそりとした境内で存在感を放つのは、『伊勢物語』第23段「筒井筒」に登場する井戸。幼い業平と紀有常の娘は、この井戸で互いの背丈を測り合ったそうです。
 やがて二人は夫婦として、ここに居を構えます。でも、そこは業平。やがて河内高安(現・大阪府八尾市)の女性のもとへ通い始めます。奥さんの気持ちを想像すると切なくなりますが、近くに「夫婦竹」と記された竹の植え込みを発見。やっぱり夫は、妻の元へ帰ったのですね。
 神社の西側に出て、古代の官道の一つ「上ツ道」を散策しながら、和菓子屋さんで干し柿の創作菓子「柿えくぼ」を買いました。中に入っている柚子の皮の爽やかな風味が、干し柿の自然な甘さと相性抜群です。
 在原神社で希代のプレイボーイの姿を心に描くなか、平安の貴族社会にも思いを馳せることができました。

いきいき通信