水だけではNG! 夏の体調管理
松本 範子
夏は屋外のグラウンドはもとより、体育館などの室内でも「熱中症」に注意する必要があります。
運動前に、その日の天気予報をチェックしておくことはもちろんですが、運動前後の体重測定と、小まめな水分補給の二つは、特に気をつけてもらいたいと思います。
体重を量ることで、運動中の汗の損失量を知ることができます。2%以上体重が減ると、運動パフォーマンスが低下し、3%以上の減少で体温調節機能も低下します。体重70kgの選手であれば、1.4kgが目安。それ以上の水分減少は避けなければいけません。
水分補給では、適度に冷えたものを数回に分けて飲みましょう。一気飲みやキンキンに冷やして飲むと、水分の吸収率が悪くなります。
また、1時間以上運動する場合は、水だけでなくスポーツドリンクや塩あめなどで塩分を取ること。水ばかりだと血液中のミネラル濃度が薄まり、筋けいれんを引き起こすことがあります。
練習後の食事では、夏野菜がほてった体を冷やすのに効果的です。特に夕方は身体に熱が溜まるので、晩ご飯にはトマトやナスをたっぷり使った煮込み料理(ラタトゥイユ)がお勧めです。適度に体温が下がり、夜もぐっすりと眠れ、翌朝の練習のパフォーマンスを高めることができます。
夏を乗りきるには「よく食べ、よく寝る!」。体調管理を怠らず、真夏の試合に負けない身体をつくりましょう。
天理時報2017年7月23日号掲載
【松本範子】東北女子大学家政学部健康栄養学科教授。公認スポーツ栄養士。正しい食生活の指導を通して、アスリートの栄養サポートをしている