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金メダルにも「悔しい」 自分見つめる目の厳しさ

新添 左季柔道女子70kg級日本代表


「手にしたメダルは『金』だったけれど、あまりうれしさがない。なんか複雑で……」

9月3日、ハンガリーで行われた「世界柔道選手権」。日本は、初めて実施された男女混合団体で金メダルを獲得。2回戦と準々決勝に出場した新添選手は、それぞれ「袈裟固」と「払巻込」で一本勝ちを収めたが、そこに笑顔はなかった。

奈良県橿原市生まれ。6歳のとき初めて畳に上がり、天理中学校へ。進学した天理高校では無冠に終わる。「柔道をやめて警察官になろうと思っていた」

それでも「おまえは伸びる」と励まし続けてくれた恩師の言葉に従い、山梨学院大学へ。ここで頭角を現し、昨年には全日本ジュニア、講道館杯、グランドスラム(GS)東京を軒並み制覇した。
輝かしい成績を挙げたにもかかわらず、話し方は訥々として遠慮がち。昨年の躍進については「自分でも驚いていて」と、照れたように笑う。

「悔しい」。短いインタビューの中で、この言葉をたびたび口にした。今年6月の「全日本学生優勝大会」、8月の「ユニバーシアード(台湾)」での優勝と2位という好成績にも、「団体戦の優勝大会は引き分け。台湾でも負ける相手ではないと思っていたのに、力が及ばなかった」。そして冒頭のハンガリー。2回戦から出場し、2勝したが、決勝戦には別の選手が出場した。

「高校時代は無心に打ち込むだけだったけれど、いまは考えて柔道ができるようになった。金とか銀とか、結果よりも、自分の力不足が逆によく分かる。だから悔しいんです」

2020年に向けて、新たな才能たちが鎬を削る女子柔道界で、冷徹なほどに自分を見つめる。視線の先には、東京オリンピックの最も高い表彰台がある。

天理時報2017年9月24日号掲載




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